「つわり(妊娠初期の悪心・嘔吐)」は妊婦さんの半分以上に認められます。
さらに体重減少や脱水、ミネラル不足になるほどのひどい状況を「妊娠悪阻」と言い、全妊婦の0.5から2%に認められます。
つわりや悪阻がなぜ発症するかは誰にもわからないですが、胎盤がつくられる過程で起こるお母さんの症状とも言われてはいます。
胎盤が完成する妊娠16週までには多くの妊婦さんはつわりや悪阻から解放されますが、他の原因を理由として悪心・嘔吐が続く妊婦さんもわずかですがいます。
そういう時は、念のためにかかりつけの産婦人科医に相談するようにしましょう。
重症妊娠悪阻
妊娠悪阻がひどくなると重症妊娠悪阻になります。
皮膚の乾燥や口の乾きなどの脱水症状が認められ、5%以上の体重減少があり口から水分摂取ができない場合や、尿中ケトン体陽性が続く場合などは輸液が必要になりますし、さらに体重減少が続く場合は特殊な点滴も必要になります。
あまりにもひどい病状のときは入院の必要性を説明されることもありますので、かかりつけの産婦人科医に従いましょう。
ウェルニッケ脳症
私たち産婦人科医にとって、妊娠悪阻がひどい妊婦さんを気をつけなければならない理由があります。
それは妊娠悪阻がひどくなると、ビタミンB1不足になり、最終的にはウェルニッケ脳症になるかもしれないからです。
ウェルニッケ脳症は細かい目の震え(眼振)による眼球運動障害、意識障害、ふらつきなど回復ができずに後遺症(コルサコフ症候群)として残ったり、死に至ったりすることもあります。
詳細はe-ヘルスネット(厚生労働省提供)をご参照ください。
多くの場合はウェルニッケ脳症・コルサコフ症候群には至らずに回復する場合がほとんどですが、つわりや妊娠悪阻があり、不安な場合はかかりつけの産婦人科医に相談しましょう。
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作成日:2022/08/28