科学的根拠に基づいた出生前検査で分かる病気は、
- 染色体数的異常
- 超音波検査で分かる範囲の形態疾患(骨格や内臓、小脳、四肢など)
の2つしかありません。
その理由がわかるためには、『染色体・DNA・遺伝子の違い』について理解する必要があります。
染色体・DNA・遺伝子の違い
ヒトの体は、卵子と精子が合わさった受精卵が細胞分裂を繰り返し融合して、たくさんの細胞が集まって作られていきます。
細胞のひとつひとつには核があり、核の中には、染色体があります。
ヒトの場合、染色体は2本で1組、23組、合計46本あり、大きさと染色のパターンは番号ごとに異なります。
染色体、DNA、遺伝子を同じものと誤解される方が多いため、わかりやすく例えを挙げて説明します。
染色体をみると本の背表紙のようにみえますね。
なので、染色体を本と例えるなら、DNAは文章、遺伝子は文字と考えると分かりやすいと思います。
染色体 | DNA | 遺伝子 |
---|---|---|
本 | 文章 | 文字 |
染色体とDNAと遺伝子はイコールではないことが理解してもらえるでしょう。
そして染色体46冊が入っている本棚1台は、ヒト1人の遺伝情報全てをカバーした取扱説明書の集まりとも表現できます。
出生前検査で全てが分かるわけではありません
このように表現すると全ての遺伝情報が出生前検査でわかってしまいそうに感じるかと思いますが、この本はそう簡単に開けたり読めたりできないので、科学的根拠に基づいた出生前検査で分かる病気は、染色体数的疾患と超音波検査で分かる範囲の形態疾患になります。
作成日:2022/08/30